来年度予算案におけるPFAS汚染の状況調査についての申し入れ

2025年2月27日

山口県知事

村岡嗣政 殿

瀬戸内海の静かな環境を守る

住民ネットワーク

共同代表 藤川俊雄 鳥家治彦

久米慶典

 

来年度予算案におけるPFAS汚染の状況調査についての申し入れ

 

山口県は来年度予算案において、「水環境中のPFOS等存在状況調査」391万円を計上している。永遠の化学物質と言われるPFAS(有機フッ素化合物)は世界的にも人に及ぼす健康被害が問題となり、日本政府も従来の努力義務にとどまる「暫定目標値」から法的な義務を伴う水道法上の「水質基準」の対象にする方針を決めている。

私たちは昨年10月31日岩国基地近隣の遊水池において採水し、PFASの検査を行った。結果は国の環境水の暫定指針値50ng/l(PFOSとPFOAの合計値)の3.5倍にあたる175.6ng/lにも及んだ。汚染源が岩国基地である可能性は極めて高い。また岩国市は独自に昨年12月岩国基地周辺で調査を行ったが、私たちの調査地点よりはるかに岩国基地より離れた場所での調査であった。その結果はほとんどPFOS・PFOAが検出されないものであった。岩国基地の直近でしか高い濃度のPFASが検出されないということは、岩国基地が汚染源であるという疑いは一層強まったと言える。来年度の調査においては岩国基地に隣接する水路・遊水池での水質調査こそが求められる。

2月発表された一部報道機関のPFASアンケートでは、22道府県が汚染源特定の調査に前向きであるのに対して、山口県は「未定」「検討していない」の範疇での回答であったことが報じられている。県民の安心・安全は汚染源の特定・除去をもって初めて実現されることを指摘する。

県は来年度のPFAS調査においてはコンビナート、空港、下水道処理場、最終処分場などを対象にすると、去る4日開催された県環境審議会で明らかにしたと報じられている。長年PFOSを含む泡消火剤を使用してきたと思われる米軍岩国基地、航空自衛隊防府北基地、海上自衛隊小月基地が対象となっていないのであれば、重大な瑕疵ある調査となる。以上より来年度実施予定のPFASの状況調査について下記申し入れる。

 

 

  • 岩国基地に隣接する水路・遊水池での水質調査を行うこと。
  • 航空自衛隊防府北基地、海上自衛隊小月基地も調査の対象とすること
  • 汚染源の特定を山口県の基本姿勢とし、引き続き全県的なPFAS調査を行うこと