本年4月12日に告示された岩国市における重要土地等調査規制法(以下法と呼ぶ)に基づく特別注視区域・注視区域の指定については市民生活への影響が懸念されるところである。私たちの調査によれば岩国航空基地の特別注視区域内に居住する市民は世帯数にして15000世帯、人口にして30000人を下らないことが明らかになった。(別紙参照)以下三点について申し入れる。
一点目は周知の問題である。対象市民の多くが自らが指定地域に居住していることを知らず、かつ今後どのような措置が講じられるかを理解していないと考えられる。岩国市においては、国より周知について協力が求められていると認識しているところであるが、加えて地方自治法1条の2にあるように住民の福祉の増進を図る立場より、周知の徹底については格段の努力が必要と考える。
市報において特別注視区域、注視区域として指定されているすべての町丁名と国が示す法の概要を掲載することを求める。
二点目は指定の範囲の問題である。愛宕山の住宅、スポーツ施設は特定重要施設として周辺が特別注視区域となっている。法5条は重要施設の施設機能を阻害することを防止するために、区域指定するとしている。「施設機能」とは法2条4項1において、「我が国を防衛するための基盤としての機能」と定義されている。家族住宅やスポーツ施設は防衛するための基盤とは言えない。そもそも愛宕山地域の周辺を区域指定することに疑問がある。また特定重要施設とは法の基本方針によれば①指揮中枢機能または司令部機能を有する施設②警戒監視・情報機能を有する施設③防空機能を有する施設及び④離島に所在する施設、とされている。愛宕山地域にはこれらの機能はなく、また本来の米軍岩国基地とは分離され、かつ距離的にも相当に離れた位置にある。愛宕山の住宅、スポーツ施設周辺を特別注視区域とすることは明白に法の趣旨に反することで、瑕疵ある指定と断ぜざるをえない。
愛宕山の住宅・スポーツ施設周辺を特別注視区域とすることについては取り消しを国に求めるよう要望する
三点目はプライバシー権の問題である。先の市議会一般質問の答弁で、「名、住所、本籍・国籍等、生年月日、連絡先、性別」が岩国市に対して国より情報提供が求められると示された。これらはすべて保護されるべき個人情報である。
情報提供にあたっては、岩国市個人情報保護法に基づき、本人の同意を求めることを要望する。