岩国市長
福田良彦様
瀬戸内海の静かな環境を
守る住民ネットワーク
共同代表 河井弘志
共同代表 桑原 清
FCLPの事前訓練の禁止と抜本的な騒音軽減対策を求める申入れ
先週月曜日からの岩国基地における深刻な騒音被害は、空母艦載機による昼夜を問わない濃密な訓練によるものであることが明らかになっている。その多くはFCLP前の集中訓練である。一部報道では、光学着陸誘導装置(ミートボール)を滑走路脇に据え付け、タッチアンドゴーを繰り返す空母艦載機の姿が映されている。米軍は5月9日より硫黄島でのFCLPを通告しているが、パイロットが空母着艦資格を取得するための事実上の試験であるFCLPではないにしても、急降下、急上昇を繰り返すFCLPと同様の市民に甚大な被害をもたらす訓練であることは間違いない。岩国市も2008年政府に対して要望した「安心・安全43項目」のなかにFCLP前の事前集中訓練については実施禁止を要望している。このうな訓練が市民に事前に知らされることなく強行されたことは容認できるものではない。
空母艦載機移転完了より1年が経過したが、空母艦載機による騒音被害が以前より岩国基地に駐留する海兵隊機と合わさり、市民にとって受忍の限度をこえるものであることが明白となっている。4月19日山口県基地関係県市町連絡協議会は空母艦載機移駐後の「航空機騒音の状況について」を公表したが、その分析は極めて一面的なものであると断ぜざるを得ない。すなわち分析の根拠をすべて「うるささ指数W値」に求めるものとなっているからである。騒音被害はW値だけでは測ることはできない。その証左に昨年4月から今年3月までの岩国市に寄せられた騒音被害に対する苦情件数は5428件で、一昨年度1710件の3倍を超えている。岩国市・山口県にまず求められることは、基地所属機の飛行の実態と市民の騒音被害の相関関係を分析することなどの実態把握である。そのうえで効果的な騒音軽減対策を講じるよう国・米軍に求めるべきである。その際専門家を配置した協議会を設け意見を聞くことが重要と考える
以上の状況を踏まえ以下の点について申し入れる。
1、岩国基地においてFCLPの事前集中訓練など住民に重大な影響を及ぼす訓練については時期・内容について岩国市に事前説明・通告を行うよう国・米軍に申し入れること
2、岩国基地においてFCLPの事前集中訓練は実施しないよう国・米軍に申し入れること
3、岩国基地をFCLPの予備施設として指定しないよう国・米軍に申し入れること
4、効果的な騒音軽減対策のために被害の分析・実態把握を一層進めること
5、航空・環境・医療などの専門家、住民代表が参加する騒音軽減対策のための協議会を設置すること。