空母艦載機移転にかかわり「騒音・安全性の面で、全体として悪化すると言えない」とする知事見解の撤回をもとめる申し入れ

山口県知事

村岡嗣政殿                 瀬戸内海の静かな環境を

                       守る住民ネットワーク

                        共同代表 河井弘志

                        共同代表 桑原 清

空母艦載機移転にかかわり「騒音・安全性の面で、全体として悪化すると言えない」とする知事見解の撤回をもとめる申し入れ

 県知事は、空母艦載機移転の是非については「基地周辺住民の生活環境が悪化する状態かどうか」を判断基準としている。防衛省が地元自治体に示した騒音予測コンター図などを根拠として「全体として悪化するとは言えないもの」との見解を2月県議会で明らかにした。

 この見解のもっとも重要な根拠は騒音予測コンター図であると理解される。そもそもこのコンター図はあくまで仮定のものであり、その信頼性は極めて疑わしい。たとえば騒音状況算定の要素とされる飛行経路であるが、中四国防衛局より顧問久米が聞いたところでは「標準飛行経路」を想定したとのことである。「標準飛行経路」とは一般的に計器飛行を行う航空機の飛行経路であり、米軍機は有視界飛行で基地近辺を飛行していることが多い。すなわちこの飛行経路は名前に標準ということばが使用されているが、実態とは大きくかけ離れているものである。

 また「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律施行規則」1条1項には、騒音算定方法は「時間帯補正等価騒音レベル」(Lden)を採用することが決められているが、今回のコンター図は旧来の「加重等価継続感覚騒音レベル」(WECPNL)を使用している。これでは現在の法律に基づいた、最新の知見に基づく騒音予測とは言えない。

 以上からコンター図から住民生活への影響を正確に判断することは不可能と考えられる。

 また現在示されているコンター図からも県知事のいうような見解は導き出されない。県知事は75W地域の面積にのみ注目し、平成18年と比べている。しかし環境基本法16条は「生活環境を保全し、人の健康の保護に資するうえで維持することが望ましい基準」としてⅠ類型57デシベル(W値では70)Ⅱ類型62デシベル(W値では75)を示している。

 70Wの範囲についてはH18年と比べると岩国市内では立石・新港・装束地域、神東地域で大きく広がっている。これらの地域は(一部国道沿いを除けば)平常騒音は少なく、住民は平穏に暮らしている。かつこの地域には装港小学校、みはと幼稚園(平成28年から休園)、麻里布保育園、神東小学校などの教育・福祉施設が存在している。

 また周防大島町では平成18年時にはなかった70Wの範囲があらたに広範囲に出現している。三蒲地域がそれで通常は平和で静かな生活圏となっている。また三蒲小学校もその範囲に入っていることを指摘する。

 コンター図からも判断されることは、空母艦載機の移転は広範な県民に新たな騒音被害をもたらすものであり、とりわけ子どもたちの教育を受ける権利を侵害し、子どもたちの健やかな成長を阻害するものといえる。

 以上の点を指摘し、以下の二点について申し入れる。

1、 2月県議会で県知事が表明した「騒音や安全性の面で、基地周辺住民の生活環境は、平成18年当時の沖合移設前と比べて、地域により差があるものの、全体として悪化するとは言えないもの」との見解は撤回すること。

2、 空母艦載機移転による住民生活への影響を判断するために、航空関係の専門家、騒音問題の専門家、環境問題の専門家、医師、基地周辺住民の代表などで構成される検討委員会を山口県として早急に立ち上げること。